ラグビー エディー。 ラグビー日本代表はなぜ“強豪”になったのか W杯勝利へのマネジメント術――ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズ氏に聞く

ラグビー日本代表のメンタルの礎をつくった名将エディーの“ゴッドマザー”【メンタルコーチ・荒木香織1】

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元警官のNZ、スティーブ・ハンセン監督。 (撮影/竹鼻智) 桜の戦士たちはベスト8進出という歴史を作って堂々と大会を去った。 だが、楕円球を追う世界トップ国の闘いは、まだ続く。 イングランド代表を率いるのは、ご存知、エディー・ジョーンズ監督。 黒装束の大本命を率いるはスティーブ・ハンセン監督だ。 接戦が予想された先週末の準々決勝。 ニュージランドはアイルランドを46-14と大差で破り、イングランドは豪州を40-16とキッチリ叩いた。 両チームともに、調子を上げて準決勝を迎える。 選手たちが試合へ向けてコンディションを整えている間、チームを率いるヘッドコーチたちは、記者会見でのメディア対応に追われる。 ここで心理戦の口火を切ったのは、イングランドのエディーだ。 ある日、会見の場でメディアに向け、「この中でイングランドがオールブラックスに勝つと思う人は、手を挙げて下さい」と言ってのけた。 誰も手を挙げなかった。 「その通りです。 皆、オールブラックスが勝つと思っています。 プレッシャーはニュージランドにかかっています。 誰もイングランドが勝つなんて思っていません。 我々は、何も失うものはありません」 闘将は、勝つ気がないような素振りを見せた。 その日まもなくして、別の会場ではオールブラックスの記者会見が開かれた。 ハンセン監督は、いつものようにリラックスしていた。 エディーが心理戦を仕掛けているのではないか。 そんな質問が飛ぶと、さらりと答えた。 「私は心理戦なんかやりませんよ。 彼(エディー)がとても賢い人だということは、よく知っています。 そんな事をしても、何の意味もありません」 オールブラックスの指揮官は、エディに白旗をあげたようだった。 粋な言葉の交換は、スポーツのエンターテインメント性の一部だ。 イングランドの練習後に行われた記者会見で、エディーが突然声を荒げた日があった。 「我々の練習を、こっそり撮影している人がいました。 スパイに見張られているのでしょうか?」 その後、自身の過去のスパイ経験をブチまけた。 「私が最後に偵察をやったのは2001年です」 海外の記者たちは、こういうものに慣れている。 こっそり笑った。 「いまの時代、スパイの意味は何もありません。 ユーチューブでも、その他のソーシャルメディアでも、練習風景などいつでも公開されてしまいます。 この世の中、スパイの意味など何もありませんよ」 エディー自身も笑っていた。 それを受けてハンセン監督も言葉を放った。 「お互いに大勝負を戦う。 もちろん、両方に同じだけのプレッシャーがかかっています。 我々は3連覇のプレッシャーがかかっています。 そういえばイングランドは、地元開催だった前回大会では、非常に残念な結果に終わってしまいましたね(前回大会でイングランド代表は、開催国として史上初の予選敗退)。 今大会のプレッシャーは、どうなんでしょうか」 2人の名将は、お互いの電話番号を知っている。 いつでも気軽にテキストメッセージを送り合う仲。 お互いを尊重し、切磋琢磨する。 そんな仲のいい友人同士が試合の80分だけ豹変する。 世紀の対決は10月26日の午後5時、横浜国際総合競技場でキックオフとなる。

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ディレクターオブラグビー就任

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「強み」を徹底的に磨け! エディー・ジョーンズとジェイミー・ジョセフの戦術 2015年ワールドカップでは、オーストラリア出身のエディー・ジョーンズ率いる日本代表が、強豪南アフリカを破る大金星を挙げた。 そして、今回の2019年大会では、ニュージーランド出身のジェイミー・ジョセフ率いる日本代表が、悲願の決勝トーナメント進出を狙っている。 現日本代表を指揮するジェイミー・ジョセフは、1991年よりオールブラックスに選出され、1995年ワールドカップでは準優勝メンバーとなった。 テストマッチの出場回数は20。 その後に日本に移住し、1999年ワールドカップでは日本代表として出場している。 そんなジェイミー・ジョセフ率いる日本代表の強みとは何か。 前日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズのラグビーと、比較してみよう。 2015年大会でエディー・ジョーンズが取り入れたのは、彼の出身地オーストラリア生まれの「シークエンス・ラグビー」という戦術だ。 シークエンスとは、連続する動作の手順を意味する言葉だが、ラグビーにおいては、試合中にどんなプレーをするかを試合前から決めておくことをいう。 具体的には、 ボールの運びをどういう状態にするかをあらかじめ決めておき、試合でそのとおりの状況にもっていく。 そこから、攻撃へと展開していくのだ。 エディー・ジョーンズが用いたのは、そうした手順重視の「シェイプ」と呼ばれる戦術だった。 この戦術は、プレーヤー一人ひとりが決められたエリアに走り込むことでディフェンスを誘導し、スクラムハーフとスタンドオフが複数のパスコースを選択できるようにして相手のディフェンスを崩す攻撃である。 相手からすると、マークすべきランナーが多いため、的が絞りにくく、ディフェンスが混乱しやすくなる。 動きの敏捷性という、日本人の強みを活かした戦術だ。 一方、ジェイミー・ジョセフのラグビーもまた、日本人の敏捷性を活かしたラグビー戦術である。 こちらが採用しているのは、「ポッド」と呼ばれる攻撃法だ。 ちなみにこれはオールブラックスが得意とする攻撃法である。 オールブラックスに学んだ日本の攻撃 ポッドの特徴は、選手たちが担当するエリアを決めてしまうことだ。 大概は、フィールドを縦長に四つぐらいのエリアに分ける。 このエリアが細長い形なので「ポッド(=豆のさや)」と呼ばれているようだ。 従来のラグビーでは、タックル後のボールの争奪はフォワードの役割、ボールを運ぶのはバックスの役割と、プレーの内容で役割を分けているが、ポッドでは、あるエリアにボールが回ってきたら、そこを担当する選手がボールの処理を引き受ける この戦術のメリットは、メンバー15人全員がフィールドの横幅全体に広がるため、相手も守備の幅を広げざるを得なくなる点だ。 自分の担当エリアにボールが来たら、選手は守備の薄い別のエリアに2~3秒以内に展開する。 そしてこの、相手ディフェンスをかいくぐってボールを素早く回すところに、日本人の敏捷さが活きるのである。 オールブラックスの攻撃では、自分がボールを持っているときに相手ディフェンスがタックルで止めに入っても、倒れる前に素早くパスを回すことで別のエリアの選手を前に出させている。 そうした攻撃を繰り返していると、ディフェンスしている相手プレーヤーの配置に偏りが生まれる。 そして、いくらか手薄になってきたところを目がけて、サイドへのロングパスから前に出て、一気にトライを取る。 攻守ともに豊富な運動量でプレーすることを前提としたタフな戦術である。 こう見ると、ポッドという戦術は、もちろん敏捷性も必要だが、別エリアへボールを的確に受け渡すテクニックがいるし、相手ディフェンスにつかまった際には自力で持ちこたえなければならないため、パワーも必要となる。 スピード・テクニック・パワーの三拍子が揃った、まさにオールブラックスのような熟練のチーム向けだとも言える。 そして事実、オールブラックスは、このポッド戦術で世界の頂点に君臨し続けている。 ジェイミー・ジョセフ率いる日本代表は、どこまでこの戦術に磨きをかけ、自分たちの強みにできるか、2019年ワールドカップではぜひそこに注目したい。 敏捷性という日本の強みを活かすためには、攻守ともに、運動量で相手に勝たなければ、勝利は訪れない。 今の日本代表には、かなりのハードワークが要求されるだろう。 できない理由でなく、できる理由を探せ! 2015年・南アフリカ戦の勝利.

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エディー・ジョーンズが変えた日本のラグビーとビジネスカルチャー

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「can't do」で考えるのではなく,「can do」を考えるのです 「なぜ日本はこういう状況なのか?」と様々な人に問いかけました。 すると日本人は「体が小さいから」,「プロの選手が少ないから」,「日本は農耕民 族だから」など と答えます。 体が小さいことは事実ですが,それを変えることはできません。 しかし,強くなることはできます。 速くもなれます。 俊敏性を伸ばすことも,賢くな ることもできま す。 「can't do」で考えるのではなく,「can do」を考えるのです。 不利なことを利点に変えることが大切です。 日本人はチームワーク優れています。 ラグビーというのは,非常に複雑なスポーツで,日本のチームワークを重んじる伝統 はアドバンテー ジになります。 最も重要なのは勝つことです 今の日本のラグビーはオーソドックスなスタイルにかわって来てしまった。 オーソドックスにプレーしても世界のトップ10には入れません。 最も重要なのは勝つことです。 日本代表が勝つためには他チームにない強みを持つことです。 例えば,オールブラックスは高い身体能力。 ワラビーズは頭脳的でスマートなプレー。 スプリングボクスは強いフィジカル。 イングランドはセットピースのチーム。 では日本には何があるのか。 我々には速さがあります。 日本人は狭いスペースで速く動くことができる。 ボールを速く動かし、試合のテンポを(自分達が)コントロールしていく。 日本人の体つきを上手く生かした,頭を使ったプレーをして,我々のアドバンテージにしていくこと が必要です。

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